【入試問題研究】渋谷教育学園渋谷中学校2023年

受験

渋谷教育学園渋谷中学校2023年入試問題についての記事です。どのような問題が出題されたのか解説とともに紹介します。対策の参考にしてください。

渋谷教育学園渋谷はその名の通り渋谷にある中高一貫校で、帰国生にも人気があります。高校からの募集は実施していません。

今回は2023年第1回入試に国語と算数の問題について解説していきます。

国語

物語文も論説文も選択肢問題は文が長いのが特徴で、微妙なニュアンスの違いを読み取る力が必要です。選択肢を比べる力はもちろんのこと、本文の内容が理解できていないと正解を選ぶことはできません。いつも口を酸っぱくして言っていますが、文章理解力をつけることを意識して国語の勉強をしていきましょう。

大問一は物語文、出典は額賀澪『競歩王』(光文社文庫)から。

かつて「天才高校生作家」としてもてはやされていた榛名忍は大学生になりスランプに陥っていた。東京五輪の開催に合わせてスポーツ小説(競歩)を書くことになり、大学の後輩の八千代篤彦に取材を行う。走ることを諦め競歩に転向したものの上手くいかずにもがいている八千代に、忍は自分を重ね合わせる。

(一)漢字の読み書き。②真一文字「まいちもんじ」は知らないと読めないかも。

(二)六十字以内の記述問題。八千代は走ることを諦め競歩に転向した。「走りたいけど仕方なく競歩やってない?」というセリフは八千代の痛いところをついている。

(三)「何事もなかったかのように」という記述が本文にもあるがイはひっかけ。

(四)直後の「綺麗になるぞぉ」は八千代のフォームを直すこと。蔵前は八千代の成長のために厳しいことを言っている。

(五)「失敗から逃げ回るみたいに」や「忍の心はぼこぼこの穴だらけ」など本文にヒントがある。

(六)二人の共通点を選ぶ。内容が理解できていれば難しくないはず。

(七)八千代との会話の中で忍は自分を見つめ直すことができた。

(八)選択肢が七つあり文も長いが、間違えている部分は探しやすい。

大問二は論説文、出典は古田徹也『いつもの言葉を哲学する』(朝日新書)から。

<優しい日本語>は社会的包摂や多文化共生のためにも必要なものだ。一方で、豊かな表現力や思考力のためには豊富な語彙もまた重要である。二項対立の文章でありながら、対立ではなく両立を目指していくような展開になっている。

(一)漢字の書き。基本問題。

(二)「やさしい日本語」が何のために導入されたのか読み取る。

(三)「精密コードとしての日本語」は「やさしい日本語」と対比されて使われている。

(四)六十字以内の記述問題。同ページ後半に、言葉を探し迷いつつ選び取ることが思考の重要な要素であると書かれている。

(五)選択肢は内容が理解できていれば難しくない。記述もニュースピークについて書かれている部分をまとめるだけなので難しくないはず。

(六)間違えている選択肢を探す。ニュースピークについて理解できれば難しくない。縁起の悪い言葉は知っているけど使わないだけですよね。

(七)内容一致の基本問題。

本文ではジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984』に出てくる「ニュースピーク」(国民の思考力を弱めるために語彙を減らし続ける新しい言語)に言及しています。

筆者もオーウェル同様に、権力者が意図的に言葉を簡略化していく先の危険について警告しています。

『1984』は私も大好きな小説のひとつです。入試問題をきっかけにオーウェルを読み始める中学生たちもいるかもしれませんね。

算数

[1]小問集合

(1) $ \dfrac{17}{119}-\dfrac{7}{119}=\dfrac{10}{119} $ 「2023は119で割れるはず」

(2) 6.8%の食塩水ということは容器Aには13.6gの食塩が、容器Bには20.4gの食塩が入っています。ということは、もともと容器Aには16gの食塩が、容器Bには18gの食塩が入っていたことになります。100g入れかえると±2gです。±2.4gにするには120g入れかえれば良い。

(3) 三角形の内角と外角の性質を利用する。△ABCの内角A+内角C=外角B 次に△ACDの内角A+内角D=外角Cと繰り返していく。

(4) 36の約数1, 2, 3, 4, 6, 9, 12, 18, 36を使う。

3 4 18
36 6 1
2 912
解答例

(5) 下記のような面積図を書いてみると、80円の部分の面積は201〜279円。予定していた鉛筆の本数□本は3本か4本だとわかる。

(6) AとBの通ったあとは下記のようになるので、Aの真ん中の弧の分が長いとわかる。

[2]立体図形(切断)

(1) 切断面は下記のように延長して考えるのがポイント。

(2) 切断した体積は延長した三角錐をもとに考える。

(3) 切断面PQHの面積がポイント。下記のように1:1:2の直角三角椎は展開図が正方形になる。

[3]点の移動

(1) 順番通りに時間を計算していけば良い。

(2) S→A→D→H→C→O→A→D→H→C

(3) 引き返してみるルートに気づけるかどうか。

S→A→D→H→C→O→A→D→H→C
S→A→D→H→C→O→A→B→G→C
S→A→Bと下に行くルートもあるので2×2の4通り。「だけど、こんなに簡単で良いのだろうか」
S→A→D→Eと引き返してみると、
S→A→D→E→A→O→C→B→G→C
S→A→D→E→A→O→C→D→H→C
こちらもS→A→Bと下に行くルートもあるので2×2の4通り。合計8通りになる。

[4]数の性質

偶数+奇数=奇数になる。奇数+奇数=偶数になる。

(1) 6+1×5+2×3×4=35と6+1×3+2×5×4=49の二つ。

(2) 4+3×5+6×7×8=355と6+3×5+1×2×4=29の差。

(3) 偶数×奇数=偶数になる。奇数×奇数=奇数になる。

エ×オ×カが偶数(4の倍数)ということは、ア+イ×ウは偶数+偶数もしくは奇数+奇数になる。

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