渋谷幕張中学校2023年入試の算数の問題についての記事です。どのような問題が出題されたのか解説とともに紹介します。対策の参考にしてください。
50分100点満点。受験者最高点は100点、受験者平均点は47.8点、合格者平均点は58.7点でした。各大問の(1)は基本問題が多いので、ここは丁寧にミスしないように、(2)の応用問題をどれくらい取っていくことができるかが勝負になります。
算数
[1]場合の数
さいころの出た目によってカードを裏返していく、場合の数の問題です。1〜4が出たら一枚裏返す、5と6が出たらすべて裏返すルールです。
(1)さいころを2回投げて2枚だけ裏返せばいいので下記の12通り(3×4=12)
1-2 1-3 1-4 | 2-1 2-3 2-4 | 3-1 3-2 3-4 | 4-1 4-2 4-3 |
これは基本問題ですね。
(2) 4回投げてすべて表向きになるというハードな問題です。一体何通りあるのか気が遠くなりそうですが、一つずつ整理していきましょう。
5か6が出るとすべて裏返すので、すべて裏→すべて表→すべて裏→すべて表で4回やるとすべて表になります。
5と6が出るのは、
2通り×2通り×2通り×2通り=16通りです。
たとえば最初に5が出るパターンは以下の8通り。6で始めるパターンも同様に8通りですね。(合計16通り)

次は、すべて裏→すべて表→1枚裏→1枚表になるパターンを考えてみましょう。
たとえば、5-5-1-1だと、すべて裏→すべて表→し裏→し表、ですべて表になります。
5-5-1-1の出方は下記の6通りです。
5-5-1-1
5-1-5-1
5-1-1-5
1-5-1-5
1-1-5-5
1-5-5-1
最初に5-5が出るパターンは、下記の4パターンあります。
5-5-1-1
5-5-2-2
5-5-3-3
5-5-4-4
6×4=24通りです。
最初に6-6が出るパターンも同じ24通りになりますね。
6-6-1-1…6通り
6-6-2-2…6通り
6-6-3-3…6通り
6-6-4-4…6通り
最初に5-6-が出るパターンもありますね。
5-6-1-1
5-6-2-2
5-6-3-3
5-6-4-4
この場合は、5-6で始める場合と6-5で始める場合の2通りがあるので、上記の2倍の48通りになります。
たとえば、5-6-1-1の出方を書いてみると下記のように12通りになりますね。
5-6-1-1
5-1-6-1
5-1-1-6
1-5-1-6
1-1-5-6
1-5-6-1
6-5-1-1
6-1-5-1
6-1-1-5
1-6-1-5
1-1-6-5
1-6-5-1
12×4=48通りですね。
最後に、1枚裏→1枚表→1枚裏→1枚表になるパターンを考えてみましょう。
1-1-2-2…6通り
1-1-3-3…6通り
1-1-4-4…6通り
2-2-3-3…6通り
2-2-4-4…6通り
3-3-4-4…6通り
1-1-1-1…1通り
2-2-2-2…1通り
3-3-3-3…1通り
4-4-4-4…1通り
合計40通りです。
すべて合計すると、16+24+24+48+40=152通り
[2]規則に関する問題
前にある二つの数をたして次の数をつくるフィボナッチ数列に関する問題です。ただし、今回の問題は「たした数の1の位の数とする」とあるので、下記のように13になったら3になります。

(1) 続けて数を作っていくと下記の表のようになります。2回目に0が出てくるのは16番目になりました。
0 | 1 | 1 | 2 | 3 | 5 | 8 | 3 | 1 | 4 |
5 | 9 | 4 | 3 | 7 | 0 | 7 | 7 | 4 | 1 |
(2) は、(1, 2023)+( a, 2023)=10のaをすべて求めなさい、という問題。
もう見ただけで「うわぁ……面倒くさい……」となってしまった人も多いのではないでしょうか(^_^;)
まずは、(1, 2023)で先ほどの表の続きを書いて2023番目の数を求めます。
0 | 1 | 1 | 2 | 3 | 5 | 8 | 3 | 1 | 4 |
5 | 9 | 4 | 3 | 7 | 0 | 7 | 7 | 4 | 1 |
5 | 6 | 1 | 7 | 8 | 5 | 3 | 8 | 1 | 9 |
0 | 9 | 9 | 8 | 7 | 5 | 2 | 7 | 9 | 6 |
5 | 1 | 6 | 7 | 3 | 0 | 3 | 3 | 6 | 9 |
5 | 4 | 9 | 3 | 2 | 5 | 7 | 2 | 9 | 1 |
0 | 1 | 1 | 2 | 3 | 5 | 8 | 3 | 1 | 4 |
最後の赤字の行は最初の行の繰り返しになっています。60個ずつの繰り返しだということがわかりました。

ここまで長いと途中で計算間違いをしているのではないかと不安になってきますが、自分を信じて粘り強く計算しましょう。
2023÷60=33あまり43 なので、表の43番目の数は6だとわかりました。
(1, 2023)=6なので、( a, 2023)=4です。
(1, n)の表はもうつくってあるので、(2, n)や(3, n)について考えてみます。
0 | 2 | 2 | 4 | 6 | 0 | 6 | 6 | 2 | 8 |
0 | 8 | 8 | 6 | 4 | 0 | 4 | 4 | 8 | 2 |
0 | 3 | 3 | 6 | 9 | 5 | 4 | 9 | 3 | 2 |
5 | 7 | 2 | 9 | 1 | 0 | 1 | 1 | 2 | 3 |
すると、(2, n)は(1, n)の2倍に、(3, n)は(1, n)の3倍になっていることがわかります。
(1, 2023)=6だったので、6にかけ算をして1の位が4になる数を探します。
6×2=18
6×3=21
6×4=24
6×5=30
6×6=36
6×7=42
6×8=48
6X9=54
答えは4と9だとわかりました。
[3]立体図形(容器に水を入れる問題)
容器に水を入れていく問題です。水が容器に触れている面積を表したグラフをヒントにしながら解いていく問題です。
(1)「底面あ」の面積を求める問題。
「底面あ」+「側面積」が「水が容器にふれている面積」です。
「面あ」を下にしたときの側面積は(30+60)×2×5=900㎠
「水が容器にふれている面積」はグラフ1を見ると2340なので、
2340-900=1440
(2) グラフ2の水が容器にふれている面積を求める問題
1440(底面あ)×5(水の深さ)=7200(水の体積)
グラフ2の18分たった時に増える水は、1000×18=18000
合計して7200+18000=25200
グラフ1から(5040-1440)÷180=20
これで切り取られた直方体のところまでの長さが20だとわかります。
30×60-1440=360
これで「あ」の方向から見た時の切り取られた直方体の面積が360だとわかります。
切り取られた直方体の体積は20×360=7200
25200+7200=32400…下の図の、青い線のところまで水が入って、緑色の切り取った直方体も埋めた状態の体積です。

30×45=1350
32400÷1350=24
これで「底面い」から切り取られた直方体までの高さが24だとわかりました。
「面あ」の方向から見た直方体の面積は360なので360÷24=15
「底面い」の面積は(45×15)+(25×15)=1050
水にふれている側面積は(45+30)×2×24=3600
1050+3600=4650
[4]平面図形
角や面積を求める問題です。図1の二等辺三角形がポイントになります。
(1)①ACに線を引いて2つの合同な二等辺三角形にわけると、30°と75°と75°の二等辺三角形になります。
(1)②BDに線を引くと一辺4cmの正三角形になります。
(2)下の図のように線対称の図形を描くと、一辺6cmの正方形になります(中にある六角形は正方形と二つの正三角形に分けることができます)

このように青い補助線を引くと3つの二等辺三角形ができます。
30°ということは他の二つの角は75°ですね。これは(1)で出てきた二等辺三角形と同じです。
ということは、下の図のように補助線を引くと正三角形になるので、この二等辺三角形は底辺6、高さ3で面積を求めることができます。

[5]展開図
展開図の問題です。展開図をもとに、立体をイメージする力が問われました。
(1)展開図を見ての通りPMとMTは同じ長さなので、このように二等辺三角形になります。

(2)立体Aと立体Bを組み合わせたとき、側面が平らの一つの面になるのがポイントです。
下記のように3cmの底面と、その中央の頂点がくっつきます。どうしてもイメージできない人は切り取って立体をつくってみてください。

(3)コンパスを使って展開図を作図する問題です。
前述の(2)で組み合わせた立体Aと立体Bに、さらに立体Aをくっつけます。立体Aを二つ並べた真ん中に、上から立体Bを当てはめた形ですね。

正面から見ると台形になっているのがポイントです。
この問題文の「最も面の数が少ない立体」という部分をヒントに(2)の側面が平らになると気づいた人もいるのではないでしょうか。

今回は記事が長くなったので算数のみの解説です。中学受験は算数についての相談が最も多いということもあります。他の科目もまた機会があれば解説したいと思います。
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