詩の種類と表現技法

国語

今回は小・中学生が習う詩の種類や表現技法についてまとめました。入試対策や定期テスト対策の参考にしてください。

高校入試で詩が出題されることはあまりありませんが、時々出題されることもあるので油断は禁物です。

2020年入試では福島県で下田喜久美「若竹が無い」や慶應義塾高校で吉野弘『吉野弘の詩のすすめ―詩と言葉の通路』(思潮社)から「生命は」という詩と解説文が、2021年入試では岩手県で柴田翔『詩の道しるべ』(筑摩書房)から高田敏子「小さな靴」、三好達治「春の岬」、黒田三郎「紙風船」などの引用と解説文、山村暮鳥「春の河」などが出題されています。

とはいえ、詩はテストのために読むものではありません。詩は、これまで気づかなった世界の美しさを教えてくれたり、生きる勇気をくれたりします。想像力を働かせて、じっくりと味わって詩を読んでほしいと思います。

教科書掲載の詩

小・中学生たちは学校で、どんな詩を読んでいるのでしょうか。

小5~中3の教科書を見てみると、下記の詩が掲載されていました。(教科者は光村図書のものを参照しました)

小学5年生
谷川俊太郎「かんがえるのっておもしろい」
北原白秋「からたちの花」
ジュール=ルナール「蛇」(岸田国士訳)
まど・みちお「するめ」
八木重吉「路」
岸田衿子「一ぽんの木は」
三好達治「土」

小学6年生
山村暮鳥「春の河」
室生犀星「小景異情」
まど・みちお「せんねん まんねん」
八木重吉の「〈ぽくぽく〉」
川崎洋「動物たちの恐しい夢のなかに」
武鹿悦子「うぐいす」
谷川俊太郎「生きる」

中学1年生
工藤直子「野原はうたう」
谷川俊太郎「朝のリレー」
木坂涼「一枚の絵」
吉田加南子「朝」
入沢康夫「未確認飛行物体」
まど・みちお「さくらの はなびら」
三好達治「土」「大阿蘇」

中学2年生
牟礼慶子 「見えないだけ」
中原中也「月夜の浜辺」
田村隆一「木」

中学3年生
長田弘「世界はうつくしいと」
石垣りん「挨拶―原爆の写真によせて」
島崎藤村「初恋」
新川和江「わたしを束ねないで」

さすが教科書だけあって名作揃いですね。気に入った詩があったら、ぜひ詩集も手に取ってみてください。私が小学生の頃に初めて買った詩集は新潮文庫の『宮沢賢治詩集』でした。訳もわからず言葉に痺れて「春と修羅」を暗唱していました。高田敏子さんの『詩の世界』を読んで、いろいろな詩の読み方を知ったのも小学生の頃でした。

詩の表現技法

詩の種類や表現技法については定期テストでもよく出題されるのでしっかり覚えておきましょう。

  • 直喩…「ようだ」「みたいだ」などを使ってたとえる方法。
  • 隠喩…「ようだ」「みたいだ」などを使わずにたとえる方法。
  • 擬人法…人でないものを人にたとえる方法。
  • 体言止め…文末を体言(名詞)で終わらせる方法。 
  • 倒置法…言葉の順序を入れ替える方法。
  • 反復法…同じ言葉をくり返す方法。
  • 対句法…構成のよく似た語句を並べる方法。

これらの表現技法の中だと対句を理解するのに時間のかかる生徒が多いです。

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

三好達治「雪」

これら二つの句が対になっているのがわかりますね。

詩ではありませんが、桃太郎の冒頭が対句の説明としてわかりやすいです。

お爺さんは山へ柴刈りに
お婆さんは川へ洗濯に

桃太郎

違うことが書いてありますが、「誰が、どこへ、何をしに」と同じ構成の文を並べています。これも対句と言えるでしょう。

詩の種類

詩の種類は「用語」「形式」「内容」による分類があります。

用語による分類

  • 口語詩…現代の言葉で書かれた詩
  • 文語詩…昔の言葉で書かれた詩。

形式による分類

  • 自由詩…音数にきまりがなく自由に書かれた詩。
  • 定型詩…音数にきまりがある詩。
  • 散文詩…ふつうの文章のように書かれた詩。

内容による分類

  • 叙情詩…作者の心情を表した詩。
  • 叙景詩…風景を中心にうたった詩。
  • 叙事詩…歴史や英雄をうたった詩。

叙事詩といえば、ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』などが有名です。どちらも物語文学としてもとてもおもしろいのでおすすめです。

叙事詩は西欧文学に多く、日本に叙事詩があるかどうかは微妙なところです。

さて、それでは例題です。

(問)次の詩の種類は何か選びなさい。(島崎藤村「初恋」より)

 まだあげ初(そ)めし前髪の
 林檎(りんご)のもとに見えしとき
 前にさしたる花櫛(はなぐし)の
 花ある君と思ひけり

 ア 口語自由詩
 イ 口語定型詩
 ウ 文語自由詩
 エ 文語定型詩

文語詩で、かつ定型詩なので、エ「文語定型詩」に分類されます。「まだあげそめし/まえがみの」「りんごのもとに/みえしとき」と七・五の音数でそろっていますね。

テスト勉強だけではなく、自由に詩を読んだり書いたりしてみてください。皆さんも、おすすめの詩集があったらぜひ教えてください。

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