中学生が高校受験に向けて、古文の勉強は何をすれば良いのかをまとめました。プリントもダウンロードできるので、模試や入試対策などに使ってください。
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仮名遣いプリント問題・解答セット
古語プリント問題・解答セット
※プリントは授業で自由に使ってください。ただし、ネット上での再配布や販売はお断りします。

中学生たちが対策に苦労するものの一つが古文です。どんな勉強をすれば良いのか、何を覚えれば良いのか……。今回は、まずはこれだけは覚えておこう!というものをまとめました。
仮名遣い
最初は歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す練習です。読み方がわからないと意味もわからないので読めるようにしてください。定期テストや入試でも仮名遣いの問題はよく出題されます。
①語頭にない「は・ひ・ふ・へ・ほ」→「わ・い・う・え・お」
やまぎは→やまぎわ
とびちがひたる→とびちがいたる
ただし語の頭にある場合は変えません。
ふみ→ふみ
まひひめ→まいひめ
このように「ふみ(文)」は「うみ」にはなりません。また、「まひひめ」は「舞姫」なので「ひめ」という語の頭は変えません。
②「ゐ・ゑ・を・ぢ・づ」→「い・え・を・じ・ず」
ゆりすゑ→ゆりすえ
よろづ→よろず
③「くゎ・ぐゎ」→「か・が」
くゎじつ→かじつ
次は母音の変化です。
④au(アウ)→ou(オウ)
かうし→こうし(kau→kou)
⑤iu(イウ)→yuu(ユウ)
しうく→しゅうく(siu→syuu)
⑥eu(エウ)→you(ヨウ)
せうなごん→しょうなごん(seu→syou)
また、慣れないうちは下記のような仮名遣いが間違えやすいので気をつけましょう。
にふだう→にうだう→にゅうどう
「ふ」を「う」に直して終わりではありません。「にうだう(niu dau)」は母音にiuとauが含まれているので「にゅうどう」と読みます。
てふてふ→てうてう→ちょうちょう
古典文法
古典文法は現代語と意味が異なるところを覚えておきましょう。特に気をつけて覚えておきたいものをまとめます。
①意志と推量の助動詞「む(ん)」
特に「ん」と表記されている場合は打ち消しの助動詞と間違えやすいので注意が必要です。
「思わん」は「思うだろう(推量)」
「行かん」は「行こう(意志)」
「思わない」や「行かない」のように否定の意味にしてしまうとストーリーがわからなくなってしまうので気をつけてください。
②文末の「ぬ」は完了
「ぬ」も打ち消しと間違えやすいので注意したい助動詞の一つです。
平家物語の有名な冒頭文に「たけき者も遂つひには滅びぬ。」とありますが、「滅びない」という打ち消しの意味ではありませんね。
「滅びぬ」は「滅んでしまう」「滅んでしまった」という完了の助動詞「ぬ」です。
※文末にくることが多いですが、厳密に言うと完了の助動詞「ぬ」の終止形です。
「ぬ」は、打ち消しの助動詞「ず」の連体形の場合もあります。
百人一首に「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ」という歌がありますが「来ぬ人」は「来ない人」という打ち消しの意味になっています。
③「〜ば」は「〜ならば」だけではない
助詞「ば」も現代語と間違えやすいです。
「雨降れば」→「雨が降るので」
「已然形+ば」で「~ので / ~と / ~ところ」のような意味になります。
現代語のように「(もし)~ならば」の意味になるのは、
「雨降らば」→「雨が降るならば」
「未然形+ば」で「(もし)~ならば」の意味になります。
「ば」の識別も問題に絡んでくることがよくあるので覚えておきましょう。
敬語
古文は主語が省略されることが多いので、尊敬語か謙譲語かの区別がつくと、誰の動作かがわかり便利です。また、主語が誰かを問う問題もよく出題されます。
以下に主な尊敬語をまとめました。意味がわかるようにしておきましょう。
▼尊敬語
給ふ(たまふ) | お与えになる(与える) |
おはす | いらっしゃる(行く、来る、居る) |
のたまふ おほす | おっしゃる(言う) |
おぼす | お思いになる(思う) |
▼謙譲語
奉る(たてまつる) | さしあげる(与える) |
参る | 参上する(行く) |
聞こゆ 申す | 申し上げる(言う) |
承る(うけたわまる) | お聞きする(聞く) |
たまはる | いただく(もらう) |
つかうまつる | お仕え申し上げる(仕える) |
また、丁寧語は「侍り(はべり)」や「候ふ(さぶらふ)」を「です」「ます」の意味で使います。
古語単語
塾によっては古語単語リストのプリントをもらって覚えたりテストしたりするところもありますが、高校入試は読解力があれば解ける問題がほとんどです。『枕草子』や『徒然草』など学校で習う古語や問題集に出てきた古語などを覚えていけば基本的には十分だと思います。
今回の配布プリントは中学校で習う基本古語単語や、いくつかの古語を追加してあります。練習に使ってください。
もちろん難しい古文の問題が出る難関私立高校を受験する人は、もっと細かいところまで古典文法や古語単語を覚えていく生徒もいます。焦らず基本的なことをしっかりマスターしてから次のステップに進んでください。

古文の勉強は、問題集や入試問題など、たくさんの古文に慣れていくことが重要です。いろいろな文章を読んでいくと、文章の展開の型や古典常識が身についていきます。
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