【入試問題研究】慶應義塾高校2022年

受験

慶應義塾高校2022年の国語、数学、英語の入試問題についての記事です。どのような問題が出題されるのか解説とともに紹介します。対策の参考にしてください。

千葉の塾で働いていたときは、時々都内の国・私立を受験する生徒もいましたが、基本的には県内の公立、私立を受験する生徒がほとんどでした。

しかし、海外の塾で働くようになってから、生徒たちの出身県はばらばらなので、全国の入試問題を解くようになりました。せっかく入試問題を研究しているのでブログにまとめておけば役に立つと思いこの記事を書いています。

生徒によっては得意な科目や苦手な科目があり、トータルでどうやって合格点を目指していくかが重要になってきます。入試問題研究では、国語、数学、英語の3科目を中心に記事を書いていきます。

国語

60分100点満点、現代文2題の出題です。文章は長くないので、じっくり文章を読んで取り組むことができます。 

最近は論説文、小説文、古文、資料読み取り、作文と多くの大問を素早く解いていく情報処理のような入試問題が多い中で、じっくり文章を読ませる問題はとても好感が持てます。

とはいえ、大問1 は10問、大問2は14問と問の数は多いので、のんびりしている余裕はありません。

大問1は早川文代『食語のひととき』からの出題。早川文代さんは調理科学を専門にされている先生です。「甘ったるい」という言葉と、食べ物の「重さ・軽さ」について考察する文章です。

元は新聞連載コラムだったということで、とても読みやすく、なるほどと手を打ちたくなるような面白い文章です。

問の中には夏目漱石の作品を選ぶ問題も。

問三 【 4 】に当てはまる作品を選び、記号で答えなさい。

ア、風立ちぬ イ、高瀬舟 ウ、トロッコ エ、雪国 オ、門

慶應義塾高校2022年国語

答えはオ、門ですね。

小説を読んでいる人には一般常識のような問題ですが、教科書の文学史に出てくるような作家、作品については知っておきたいです。

大問2は会津八一「『南京新唱』自序」より。歌人である会津八一が、歌を詠む際の心得について書いた文章です。

文語で書かれているので慣れていない人には古文を読むのに近い難しさがあるかもしれませんが、じっくり読んでヒントとなる語を探していけば解ける問題は多いはずです。

問十一で、大正十三年は西暦で何年か漢数字で答えさせる問題が出たり(正解は一九二四年)、問十二では、この一年前に起きた出来事を選ばせる問題が出題されました。

問十二 ー10(大正十三年九月)のちょうど一年前に起きた出来事を選び、記号で答えなさい。

ア、大逆事件 イ、関東大震災 ウ、日露戦争 エ、世界恐慌

慶應義塾高校2022年国語

答えはイ、関東大震災ですね。

歴史を勉強している生徒なら関東大震災が1923年の出来事だと覚えていると思いますが、慶應義塾高校は3科目入試なので難しかった生徒が多いと思います。

漢字の問題は読み5問、書き10問の出題がありました。日頃から意識して漢字を覚えていきましょう。

読書量や幅広い教養が試されるような問題もあります。学校の勉強だけではなく、たくさん本を読んでいってください。

たとえば、漢字の出題でも「母系(ボケイ)」「風光(フウコウ)」「想起(ソウキ)」などの語は、漢字は簡単でも意味がわからなくて書けない生徒もいます。

数学

60分100点満点、問題構成は下記。

[大問1]小問集合
[大問2]三平方の定理、証明
[大問3]数の性質
[大問4]関数
[大問5]平面図形(ひし形)
[大問6]規則性
[大問7]空間図形

考えてもわからないような難問はほとんどありませんが、計算に時間のかかる問題が多いので60分以内で解き終えることができない受験生も多いのではないでしょうか。

また、大問2,3,4といった前半の問題よりも後半の大問5,6,7の方が簡単に解ける生徒もいると思います。ハマってしまって時間を費やし、できるはずの問題に手が回らないのはもったいないので、時間配分や取捨選択も必要になってきます。

下記のような渦巻線のおもしろい問題も出題されました。

大問6 点Aから始まる渦巻線を、図のようにAが原点Oと重なるように座標平面上におく。渦巻線と座標軸との交点はOに近い方から次のように定める。

x軸の正の部分では, A1, A5, A9, ……
y軸の正の部分では, A2, A6, A10, ……
x軸の負の部分では, A3, A7, A11, ……
y軸の負の部分では, A4, A8, A12, ……

このとき、線分OAkの長さはkとする。例えば、OA5=5である。

(1)次の空欄をうめよ。
(i)点A2022の座標は(□, □)である。
(ii)3点A13, A14, A15を頂点とする三角形の面積は□である。

(2)3点Ak, Ak+1, Ak+2を頂点をする三角形の面積をSkとする。例えば(1)(ii)の面積はS13である。このとき2つの正の整数をa,bに対してSa-Sb=72となる(Sa, Sb)の組をすべて求めよ。

慶應義塾高校2022年数学

(1)(i)y軸の負の部分は, A4, A8, A12と4の倍数になっているので、2022を4で割ります。そうすると2余るので、点Aはy軸の正の部分だとわかります。答えは(0, 2022)

(ii)の問題は下記のような三角形になるので底辺28,  高さ14の三角形の面積は196

(2) 上の(ii)の三角形のように、AkとAk+2が底辺になるので底辺は2k+2です。高さはk+1なので面積は(2k+2)×(k+1)÷2=(k+1)2です。
Sa-Sb=72ということなので、(a+1)2-(b+1)2=72
M2-N2=(M+N)(M-N)なので、(a+1+b+1)(a+1-b-1)
(a+b+2)(a-b)=72
正の整数なのでa+b+2>a-b
(a+b+2, a-b)=(36, 2), (18, 4 ), (12, 6)

ちなみに、
偶数±偶数=偶数
偶数±奇数=奇数
なので、(24, 3)のような組み合わせは考えることができません。当てはまるa, bは出ないですよね。

さて、上記の3つのa, bは、
(a, b)=(18, 16), (10, 6), (8, 2)
面積は(k+1)2でさくさく計算していきましょう。

(Sa, Sb)=(361, 289), (121, 49), (81, 9)ですね。

MとNに置きかえるのは因数分解の基本ですが、計算で悩んだり解き直したりする時間はないので、素早く正確な計算力が土台として必要です。

英語

60分100点満点、問題構成は下記。

[大問1]書き換え問題(適語補充)
[大問2]誤文訂正問題
[大問3]説明文(適語補充)
[大問4]物語文

大問1と大問2の文法問題で合計20題も出題されるので、正確な英文法理解は絶対に必要です。

たとえば、大問1,2それぞれに現在完了の問題も出題されました。現在完了は中2で習っているので、この時期の受験生なら解けると思います。

まずは同義文書き換え問題です。

大問1 
2. I’ve been learning English for three years.
= (     ) been three years (     ) I (     ) learning English.

慶應義塾高校2022年英語

答えは( It’s ) been three years ( since ) I ( started ) learning English.

「英語を学び始めてから3年が経ちます。」
 startedはbeganでも可。
元の文がI’ve(I have)と短縮されているように、書き換えの文もIt’s(It has)と短縮形にするのがポイントです。

次は誤文訂正問題です。下記の文の間違いを探してください。

大問2

3.  The train has left 20 minutes ago, and the next one won’t be here for another hour.

慶應義塾高校2022年英語

has left は誤りでleftにするのが正解です。20 minutes agoとあるので現在完了ではなく過去形です。

どちらも文法問題の中では基本的な問題です。

2022年入試でも知覚動詞や使役動詞の出題がありましたら、高校1年生くらいで習うような英文法やイディオムの出題もあります。(下記の記事も参照)

難関私立高校を志望する受験生ならみんな勉強してくるところなのでおさえておきましょう。

また長文問題は難しい語彙がたくさん出てきて文章も長いです。じっくり精読する時間はないので、すばやく正確に読む力が求められます。

物語文は、昔よく喧嘩していた高齢の父に感謝の電話をするという内容です。読んでいて涙ぐんでしまうような感動的なものです。物語文なので直接書かれてはいなくても、話の流れやセリフから、何があったのか推測して正しい選択肢を選んでいく必要があります。

英語が得意な生徒や帰国生の中にはペーパーバックなど英語の小説を読むのが好きな生徒もいることでしょう。他校の入試問題でも良いので物語文の読解をたくさん練習しておきましょう。また、英文法やイディオム問題もそうですが、長文に慣れるという意味でも英検2級くらいまでの勉強をしておくのをお勧めします。

入試問題研究のシリーズは今後も続けていこうと思います。Learners Cafeでは3科目トータルでのサポートが可能ですのでお気軽にご相談ください。

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