開成高校2022年の国語、数学、英語の入試問題についての記事です。どのような問題が出題されるのか解説とともに紹介します。対策の参考にしてください。
開成高校の受験科目は5科目合計400点です。
国語100点(50分)
数学100点(60分)
英語100点(50分)
理科50点(40分)
社会50点(40分)
上記の通り3科目の比重が大きいです。
2022年の合格者最低点は222点です。
国語
2022年入試国語の合格者平均点は61.1点。
問題構成は以下の大問3つです。
[1]小説文
[2]論説文
[3]古文
大問1の小説文は、くどうれいん『氷柱の声』からの出題。くどうさんは歌集やエッセイ集なども出版されている作家さんで、『氷柱の声』は芥川賞候補にもなりました。
美術部の伊智花が震災後に、復興支援のために「希望」や「絆」をテーマに絵を描かされたり感動コメントを求められます。最後のコンクールでは、伊智花は自分が本当に描きたいもの、震災とは関係のない滝の絵を描きましたが入賞はしませんでした。最優秀賞を受賞したのは画力よりも震災をテーマに感動を前面に出した絵(生徒)でした。
設問は3問、すべて語り手の心情を説明する問題です。
ストーリーも語り手の心情も理解できるものだと思うので素直に読んでいけば解答できるでしょう。
大問2の論説文は、内田樹『武道論』からの出題。内田樹さんは国語の入試問題でよく扱われる著者の一人ですね。
「天下無敵」とは何かというところから話が始まり、「敵」は強圧的な上司も不愉快な隣人も、病気や加齢も敵であると「敵」の概念を拡大していきます。そして、敵はいなくなるのではなく、適切に対処することで「敵性」が解除され「支援者・協働者」に変わる。その適応、進化こそが「天下無敵」だというのが本論の要旨です。
設問は3問、問一はカタカナを漢字にする問題が5問、問二と問三は百字以内で説明する記述問題です。
記述問題は本論の「敵」とは何か「無敵」とはどういう状態のことを言うのかを理解していないと説明することができません。
大問3の古文は、与謝蕪村『新花摘』からの出題。与謝蕪村は江戸時代の俳人で歴史の教科書にも出てきますね。
戸を叩いておどかしにくる狸を捕まえようとするが捕まらない。狸は結局、里の人に討たれてしまうのだが、それを知ると寂しくなってしまう、という話。
古文も3問とも記述問題です。ストーリーを追いかけることはできても、問三が難しいと思います。
問三 「秋の暮仏に化ける狸かな」の句に込められた作者の心情を、季語の「秋の暮」に触れつつ説明せよ。
開成高校2022年国語
秋の暮れの寂しさと狸のいなくなった寂しさを重ねていますが、「秋の暮」が「あはれ」や「さびしさ」を感じさせる季語であることを説明するのは難しいですね。
本文中の「旅のわび寝のさびしきを」という部分がヒントになったかもしれません。
また、百人一首が好きな人は下記の歌を思い出すかもしれません。
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくもおなじ 秋の夕暮
良選法師
漢字以外はすべて内容理解が必要な記述問題です。線部の前後だけ読んで解くような小手先のテクニックはもちろん通用しません。読み飛ばしたりせず全文をしっかり読んで内容を理解する必要があります。
記述問題は論理的に書けているか、読む人が理解できる文章になっているかが重要です。学校や塾の先生に添削してもらうようにしましょう。

「文章を理解して自分の言葉で説明する」という本質的な国語力を問う開成の入試問題はとても好感が持てますね。
数学
2022年入試数学の合格者平均点は56.2点。
問題構成は以下の大問が4つです。
[1]二次方程式と場合の数
[2]式の計算
[3]空間図形
[4]平面図形の証明
[1]場合の数の問題は気合いがあれば誰でもできる問題ですが、全部数えている時間はないので同じパターンのルートに分けて考えるのがポイントです。
(2)(ii)はStartから9回の移動ではじめてGoalまで到達する場合の数を求める問題です。

赤いルートを真っ直ぐ行くと7回の移動にしかならないので1回戻る移動が必要なことがわかります。そうすると上記のように10箇所戻るポイントがあることがわかります。

同じように青も10通り、黄と緑は上にもう1マス多いので11通りになります。
赤10+青10+黄11+緑11で42通りです。
子どもも大人も楽しめる問題ですね。
[2]式の計算は、開成を受ける受験生はともかく、初見の生徒は問題の意味がわからない人もいるかもしれません。

他の大問にも言えることですが、(1)→(2)→(3)→(4)と、前に解いた問題の答えを使って次の問題を解いていくので、(1)を間違えると他の問題もすべてできません。ミスをしないように式を丁寧に書いていきましょう。
[3]は立方体の中に入っている正多面体の体積を求める問題です。
角頂点に5つの合同な正三角形が集まっているので正二十面体だとわかります。あとは問題の順番通りに三平方の定理や解の公式を使って計算していきます。図に丁寧に書き込みながら、今どの線の長さを求めているのか混乱しないようにしましょう。
[4]は証明問題です。問題文の冒頭にあるように「円に内接している四角形の性質」と「四角形が円に内接する条件」に関する問題であることを念頭に置いて証明していきましょう。
英語
2022年入試英語の合格者平均点は59.7点。
問題構成は以下の大問が4つです。
[1]物語文
[2]説明文
[3]同音異義語
[4]並び替え
[5]リスニング
[1]物語文は、目が覚めたら違う人の身体に入っている(心は自分のままだが毎朝別人の身体に入っている)という設定の物語です。
心と体が入れ替わるのは、ありふれた設定の物語ですが、フィクションに慣れていない人には想像するのが難しかったかもしれません。
[2]説明文は、頼まれたらNoと言えない人が、本当に大切な人に時間を使うために、嫌われるのを恐れずNoと言えるようになるまでの話です。『Noと言えない日本人』や『嫌われる勇気』を彷彿とさせる内容ですね。物語文のような趣きがあります。
長文問題はどちらも和訳の問題があります。内容を理解していないと書けないので簡単ではありません。普段の勉強から、長文はなんとなく大意がわかればいいやという大雑把な勉強ではなく、構文が理解できるように丁寧な読解を心がけましょう。
[3]発音は同じだがつづりが異なる語を考える問題です。難関校を志望している生徒なら問題集や模試でも解いたことがある形式の問題だと思います。
例えば下記のような問題です。
3(1)
開成高校2022年英語
It’s not ( ア ) to ask him to do everything. We should help.
How much is the bus ( イ ) from here to the station?
アはfair(公平な)イはfare(運賃)が入ります。
fairとfareは類題をやったことがある生徒もいると思います。
日頃から同じ発音の単語が出てきたら意識して覚えていきましょう。
[4]並び替えは足りない1語を補って書く問題です。解き慣れた形式の問題だとは思いますが、補う1語が難しいです。たとえば下記のような問題。
4(1)
開成高校2022年英語
充電できるときに充電しておかないと、こうなるんですよ。
[ battery / charge / don’t / happen / things / this / when / you / your ] when you can.
並び替えの単語の中にwhenがあるので接続詞として用いて、when you don’t charge your battery(充電をしない時)が作れます。残った単語は[ happen / things / this ]の3語です。happenが原形なので主語は複数形のthingsになりthings happen(ことが起こる)→残ったthisを使って「このようなことが起こる」things like this happenとlikeを補います。
something like thatなど、似たような表現を覚えていた人ならすらすら出てきたと思いますが、なかなか難しい問題です。

有名な学校の入試問題は受験生なら挑戦してみたくなるものですよね。開成高校はどの科目もおもしろい問題が多いので、難関校を志望している人はぜひ挑戦してみてください。
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