中学受験をしようかどうか悩んでいる方に向けた記事です。「私立中学」「公立中高一貫校」「国立大の附属中」の3つのパターンについて、入試問題や対策の違いを説明します。

日本に帰国したら中学受験をしようかどうか悩んでいます。でも、どんな対策をしていけばいいかわからなくて……。
シラチャ(タイ)で子育てをしている保護者の方からこのような相談を受けることがあります。駐在の方は帰国時期が未定の場合もあり、受験をするかどうか迷っている方が多いようです。
中学受験といっても学校によって様々です。先の話なので漠然と不安に感じている方も多いようなので、今回は「私立中学」「公立中高一貫校」「国立大の附属中」の違いと、海外にいながらどのような対策をしていけば良いかを解説します。
私立中学
中学受験といってまず思い浮かぶのが開成、麻布、灘や渋谷幕張といった私立の中高一貫校でしょう。いずれも東大合格者数ランキング上位の学校で、知名度も全国区です。
算数の入試問題を見てみると、「立体図形」や「速さ」など名前だけ見ると小学校で習う分野ですが、受験勉強をしていない小学生からすると、見たこともない図形やグラフだったり問題文の意味も理解できなかったりします。
難関校を受験する生徒たちはそもそも勉強が得意な子どもたちが多く、そんな子どもたちが進学塾に通いながら鎬を削って勉強しています。
ニュースなどで取り上げられるのもこういった難関校がほとんどで、鉢巻を巻いて「絶対合格するぞ!」みたいな映像を見たことがあると思います。おかげで「お受験は大変」というイメージを持っている方が多いように思います。
とはいえ、私立の中学校は全国にたくさんあります。上記のような難関校ばかりではありません。試験内容も学校の勉強の延長線上で、学校の勉強+αで合格できる学校もあります。
中学受験だからといって「難しい」「大変」と一括りにすることはできません。
試験科目は国語、算数、理科、社会の4科目の学校が多いです(灘中は社会がなく国語、算数、理科の3科目です)
帰国生入試を実施している中学校もあります。
たとえば、東京の広尾学園中学は一般入試は4科目受験ですが、帰国生入試だと国語、算数の2科目受験ができるコースがあります。
高校入試も同様ですが、海外在住の生徒は帰国生入試を実施している中学校を考えてみても良いかもしれませんね。
小5生までは国語、算数、理科、社会の4科目で苦手なところをつくらないように復習をしっかりしておきましょう。また、市販の問題集でも良いので、各学年で思考力が必要な応用問題にも取り組んでおくのをおすすめします。
私立中学を受験する生徒は先取り学習をして、小5生の間に小6生の教科書内容を終わらせてしまう人もいますが、先取り学習が必要かどうかは受験校のレベル(問題の難易度と合格点)によります。
まずは受験を検討している中学校がどんな問題を出題しているか確認してみましょう。問題を見ても判断できない場合は、塾の先生に相談してみてください。志望校に向けてどんな対策をしていけば良いか教えてくれます。
公立中高一貫校
公立中高一貫校の入試は、国語や算数といった科目ごとの問題ではなく、適性検査を実施します。会話文や複数の資料を読解し、読み取った内容をまとめたり自分の考えを書く問題や、国語・算数・理科・社会を合わせた教科横断型の問題が出題されたりします。
公立中高一貫校も県や学校によって出題内容や分量が異なります。
たとえば千葉中の場合は、一次検査を通過すると後日に実施される二次検査と面接を受けることができます。
一次検査の適性検査1-1では資料読み取りの問題が、適性検査1-2では算数・理科的な問題が出題されます。答えを書くだけではなく、考え方を記述する問題が出題されます。
二次検査では、適性検査2-1で算数的な問題が、適性検査2-2で国語的な問題と作文が出題されます。
とにかく問題量が多く、情報処理能力が求められます。練習しないと最後まで解き終えることができません。千葉中は全国の中でもかなり難度の高い学校です。
一方、神奈川県立平塚中や相模原中は、1日だけの試験で適性検査Ⅰと適性検査Ⅱのふたつの問題を実施します。読解して自分の意見を書く記述問題はありますが、計算の仮定や考え方を書くような問題もなくシンプルな内容になっています。
このように県や学校によって出題される検査の難度や分量は異なります。
適性検査も土台となる基礎学力は必要なので、国語、算数、理科、社会の4科目で苦手なところをつくらないように復習をしっかりしておきましょう。基礎学力がしっかりしていれば6年生から本格的に対策をはじめても合格することは可能です。

私も小6生になってから入塾してきた生徒の千葉中対策の授業を担当したことがあります。彼は基礎学力がしっかり身についていたこともあり、1年間の対策で見事合格することができました。
国立大学の付属中
国立の中学校というと、筑波大学附属駒場中やお茶の水女子大学附属中のような都内の難関校を思い浮かべる人もいると思いますが、私立中学と同じく難関校ばかりではありません。
全国の国立大学の教育学部や教育大学には付属校が設置されています。附属は中学校までで卒業したら高校受験をする学校が多いです。
千葉大学教育学部附属中の卒業生は千葉高や渋谷幕張などの県内トップ高に進学する生徒も多いですし都内の難関国私立に合格する生徒もいます。
千葉大学教育学部附属中の選考では下記のものが実施されます。
- 総合問題
- 作文
- プレゼンテーション
- 集団討論
総合問題は資料を読み取った内容を記述したり、計算や説明をしたり、適性検査型の問題です。英単語を書いたり楽譜を完成させる音楽の問題があったり、いろいろな問題が出題されます。(帰国生は作文と面接)
試験内容は学校によって異なります。
大阪教育大学附属池田中学校は下記の試験を実施します。
- 検査I 国語
- 検査II 算数
- 検査Ⅲ 理科、社会から選択
- 検査Ⅳ 音楽、図工、体育、家庭から選択
(帰国生は国語、算数と面接)
国立の中学校も学校によって対策が異なることがわかります。
学校によって試験内容は異なりますが、私立や公立と同様に基礎学力はもちろん必要です。上記の例であげたように帰国生入試は試験科目が少ない場合があります。とはいえ、勉強を疎かにしていた人がやすやすと合格できるほど甘くはありません。国語が苦手な人は作文も上手に書けません。

中学受験だからといって、焦って先取り学習をしたり難しい問題にばかり取り組んだりする必要はありません。まずは行きたい学校の入試内容を確認してから、必要な対策を取っていきましょう。悩まれている方は気軽に相談してくださいね。
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