【今月の洋書】シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』

読書

みなさん、英語の本読んでますか。

私も月に一冊は洋書を読むように心がけています(とはいえ、長かったり難しかったりすると2,3ヵ月かかることも少なくないのですが……)

せっかく本を読んでも時がたつと忘れてしまうので、備忘録という意味でも心に残った本についてブログに書いていこうと思います。

今はCharlotte Brontë(シャーロット・ブロンテ)のJane Eyre(ジェーン・エア)を読んでいます。
自分の過去Tweetを遡ってみると、

2019年の5月にかけてジェーン・エアを読んでいたようです。約4年ぶりの再読になります。

シャーロット・ブロンテは言わずと知れたブロンテ姉妹の長女。早逝の三姉妹でもあり、シャーロットも38歳で亡くなっています。

『ジェーン・エア』が出版されたのは1847年、シャーロットが31歳のときでした。

どういう時代だったかというと、翌年にロンドンでマルクスとエンゲルスが『共産党宣言』を出版。その頃の日本は江戸時代後期。ちなみに『南総里見八犬伝』が完結したのが1842年、ペリー来航が1853年です。

ジェーン・エアが江戸時代に書かれたと思うと違った感慨がありますね。

ストーリーは、孤児のジェーンがいじめに負けず苦学して教師になり、転職先で恋愛するも愛した人が既婚者だったと知り……という苦難の物語です。

あらすじは検索すればいくらでも出てきますし、未読の方もいると思うので詳しくは書きません。

とにかくジェーンの人生は困難の連続ですが、つらい中でも友だちができたり、手を差し伸べてくれる人がいたり、暗闇の中でなんとか希望の光を見つけていきます。

ジェーンの子ども時代に面倒を見てくれたメイドさんのBessieが、ある歌を歌ってくれます。ジェーンの行く末を暗示する歌になっているのですが、その歌が美しい詩のように心に残っているので対訳と一緒に紹介したいと思います。

My feet they are sore, and my limbs they are weary;
Long is the way, and the mountains are wild;
Soon will the twilight close moonless and dreary
Over the path of the poor orphan child.

Why did they send me so far and so lonely,
Up where the moors spread and grey rocks are piled?
Men are hard-hearted, and kind angels only
Watch o’er the steps of a poor orphan child.

Yet distant and soft the night breeze is blowing,
Clouds there are none, and clear stars beam mild,
God, in His mercy, protection is showing,
Comfort and hope to the poor orphan child.

Ev’n should I fall o’er the broken bridge passing,
Or stray in the marshes, by false lights beguiled,
Still will my Father, with promise and blessing,
Take to His bosom the poor orphan child.

There is a thought that for strength should avail me,
Though both of shelter and kindred despoiled;
Heaven is a home, and a rest will not fail me;
God is a friend to the poor orphan child.

足は痛み、四肢は疲れ
道のり長く、山は荒れ果て
まもなく黄昏が月のないもの寂しい
哀れな孤児の道をおおうだろう

どうして私をこんなに遠く寂しいとこへ行かせたのか
荒地が広がり灰色の岩が積み重なったところへ
人間は冷酷で、優しい天使だけが
哀れな孤児の歩みを見守る

遠くで静かに夜風が吹いている
雲はなく、明るい星が穏やかに輝く
神はその慈悲で示される、庇護を
慰めと希望を哀れな孤児に

壊れた橋から落ちても
沼地で彷徨っても、偽りの光に欺かれても
父なる神は約束と祝福で
哀れな孤児を温かく迎える

支えになってくれる思いがある
宿も身寄りも奪われたけれど
天国が我が家、安息は私を見捨てないだろう
神は哀れな孤児の味方だ

sore 痛い
limb 肢
twilight たそがれ、薄暮
dreary わびしい、もの寂しい
poor 哀れな、不幸な
orphan 孤児
moor 荒れ地
hard-hearted 無情な、冷酷な
mercy 慈悲、恵み
stray 彷徨う、迷い込む
marsh 沼地
beguile だます、欺く
Father 父なる神
take to one’s bosom 大切にする、温かく迎える
kindred 親類
despoil 奪う
fail 見捨てる
avail 利用する、役立つ

第四連のEv’n should I はEven if I shouldのifが省略されて倒置が起こっているようですね。

第五連のThere is a thought that for strength should avail me,はどう訳していいか分かりませんでした。 strengthには「頼り」「支え」という意味もあるようなので上記のような訳にしました。

小説を読み返すのは4年ぶりなのですが、この詩だけは何度も繰り返し読んでいます。

森絵都さんの『宇宙のみなしご』やカズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』も大好きな小説なのですが、家族はいても誰にでも「ひとりぼっち」の感覚があると思います。だからこそ、ジェーンの人生が凝縮したようなこの歌に強く惹かれるのかもしれません。

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