
英検を受けるのに英文法の勉強はどれくらい必要なのでしょうか。
英検の公式サイトを見ると、各級の推奨目安として中学初級程度とか中学中級程度とか記載されていますが、実際どの範囲が出題されて、どれくらいの勉強が必要なのかわからない人も多いと思います。今回は各級の文法出題範囲についてまとめました。
英検3級の推奨目安は中学卒業程度となっていますが、実際は小学生でも3級に合格する生徒はたくさんいます。では、合格した小学生がみんな中学生のように文法問題ができるかというとそんなことはありません。というのも、英検では中学校の定期テストや高校入試問題と違って文法問題があまり出題されないからです。
とはいえ、数問は文法問題が出題されますし、文法を理解していないと文章を正確に読むことも書くこともできません。受験勉強のように完璧に覚えるまで穴埋め問題を反復するといった勉強は必要ないかもしれませんが、最低限の理解はしておきたいものです。
今回は、各級でどれくらいの文法知識を求めているかを見ていきましょう。
5級
5級の推奨目安は中学初級程度となっている通り、英文法は中学校1年生で習う単元が主に出題されます。
・代名詞(I, my, me, mineなど)
・単数形と複数形
・三人称単数
・疑問詞
・Can
・現在進行形
・前置詞 など
前置詞はlisten toやlook atのように動詞とセットで使うものや、Whereの質問に答えるunderやonのような場所を示す前置詞がよく出題されます。
be動詞と一般動詞の使い分けも出題されます。重要なところなので、できるようにしておきたいです。
また、5級には並び替え問題がありますが、主語+動詞~.の基本的な文の他、疑問文や命令文の形も出題されます。
4級
4級の推奨目安は中学中級程度となっています。英文法は中学校2年生で習う単元が主に出題されます。
・過去形
・未来の文
・助動詞
・不定詞
・動名詞
・接続詞
・比較 など
4級でも5級と同様に、文法問題だけではなく並び替え問題もあります。
I went to the library to do my homework. (私は宿題をするために図書館に行った。)
これは「~するために」という不定詞の副詞的用法を使った文ですが、慣れていない子どもたちには文が長くなってくると組み立てるのが難しくなってきます。文法をあまり勉強していない小学生たちは並び替え問題で苦戦します。
過去形は特に文章問題でたくさん出てきます。bring – broughtのような不規則変化の動詞は知らないと意味がわからないので覚えておきましょう。
3級
3級の推奨目安は中学卒業程度となっています。英文法は中学校3年生で習う単元が主に出題されます。
・受動態
・現在完了
・不定詞の応用
・分詞
・関係代名詞
・間接疑問文 など
不定詞の応用というのは「ask+目的語+to+動詞~.」や「疑問詞+to+動詞~.」のような、不定詞を使ったいろいろな表現です。
3級を受検するということは、5級、4級レベルをクリアしていることが前提なので、比較や接続詞などの中2レベルの文法問題も出題されます。
3級からは並びかえ問題がなくなりライティング問題が出題されます。3級ライティングは25~35語程度です。これくらいのライティングなら比較や接続詞を使わなくても書けてしまうので、4級の並び替え問題よりも楽だという生徒もいます。
ただし、3級まで文法問題をほとんど捨ててきた生徒の場合は、ライティングにとても苦労します。主語+動詞の基本的な文が書けないまま3級に挑戦しようとする生徒もめずらしくありません。

もちろんそんな子どもたちでも基本的な英作文の練習をすればライティングを書けるようになります。教え子たちもみんな合格していきました。
準2級
準2級の推奨目安は高校中級程度となっています。3級までの範囲に加えて、下記のような単元も出題されます。
・原形不定詞
・関係副詞
・仮定法
・分詞構文 など
リーディングの文法問題で、whateverなどの複合関係代名詞や不定詞の受動態など、中学校では習わないような問題が出題されることもあります。
ですが、文法問題の出題数は少ないので、高校で習うような文法をマスターせずとも合格はできます。
ただ、準2級からは設問文や選択肢の文が長くなり、これまでの文法がふんだんに盛り込まれた英文になっています。中学生レベルの英文法を知らないと、質問や文章の意味が読み取れなくなってしまいます。
2級
2級の推奨目安は高校卒業程度となっています。
完了形の分詞構文や未来完了など、より応用的な文法が出題されます。

推奨目安が高校卒業程度といえども、中学生でも合格は難しくありません。私が英検対策をした生徒たちもみんな合格しています。
仮定法過去完了など高校で習うような英文法の勉強をしなくても合格はできますが、中学校では習わない単語・イディオムばかりなので、じっくり時間をかけて勉強していく必要があります。準2級までは教材も買わずに過去問対策だけして合格する生徒もいますが、2級以降は単語帳などで語彙力を強化しつつ4技能をじっくりと伸ばしていきましょう。
まとめ
推奨目安については必ずしも目安となる学年の英文法をマスターしていなくても合格はできます。とはいえ、級が上がるにつれ、文が長くなり、使われる文法も複雑になってきます。英文法をおろそかにしたままだと、文の意味が正確につかめなくなってきます。
3級以降はライティングもあり、準2級は50語〜60語、2級では80語〜100語が目安です。さすがにある程度の文法がわからないと長い文章を書くのがつらくなります。
試験のテクニックだけを訓練するのは本末転倒です。しっかりと文法も理解しながら骨太の英語力を身につけていきましょう!
コメント