
国文法は、学校の先生によってはあまり重点的に扱わなかったり練習プリントがあまりなかったりします。実は塾でも国語を教え始めたばかりの新人の先生は国文法が苦手な人もいます。
「文節」は中学1年生の国語で習う範囲です。躓きやすいポイントをまとめたので参考にしていただければと思います。プリントもダウンロードできるので定期テストや模試、高校入試の対策などに使ってください。
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文節のまとめプリント
文節のまとめプリント解答
※プリントは授業で自由に使ってください。ただし、ネット上での再配布や販売はお断りします。
文節切りのポイント
ポイント1.「ネ」で切るのは限界がある。
文節に分ける問題では、「ネ」をつけて区切ってみるよう教える先生が多いと思います。ですが、このやり方だと分けていいのかどうか迷ってしまうポイントがいくつか出てきます。
試しに、下の例文に「ネ」をつけて文節に分けてみてください。
(例題)あの人は山田くんの弟のようだった。
こんなふうに切ってしまった人はいませんか。
(誤答)あの人はネ / 山田くんのネ / 弟のネ / ようだった。
実はこれは文節切りでは間違いなのです。
正解は下記のようになります。
(正解)あの / 人は / 山田くんの / 弟のようだった。
文節は自立語ごとに分けたものです。「あの」は後の「人」という名詞(体言)にかかっている「連体詞」という修飾語です。連体詞も名詞もどちらも自立語なのでそれぞれ文節を分けます。
「ようだった」というのは「ようだ」と「た」という助動詞です。これらは付属語なので文節では分けません。
ポイント2.「この」「その」「あの」「どの」は連体詞(自立語)なので文節を分ける。
ポイント3.「そうだ」「ようだ」「らしい」「だろう」は助動詞(付属語)なので文節を分けない。
もう一つ間違えやすいポイントが次のような問題です。
(例題)公園で遊んでいる間に暗くなった。
これも「ネ」をつけて文節に分けると間違えてしまうことがあります。
(誤答)公園でネ / 遊んでいるネ / 間にネ / 暗くなった。
正解は下記のようになります。
(正解)公園で / 遊んで / いる / 間に / 暗く / なった。
これも自立語と付属語で考えてみると、「いる」は動詞で、「なった」も「なる」という動詞に「た」がくっついた形です。どちらも動詞(自立語)なので文節を分けます。
「遊んで」と「いる」は補助の関係になっていて、意味的にまとまっているので慣れるまでは切るのが難しいのです。
ポイント4.「〜で」「〜て」「〜く」で切れるときに見落としがち。
「飛んで / いる」「食べて / みる」「明るく / ない」のように切れます。
文の成分のポイント
文の成分は次の5つ。
①主語
②述語
③修飾語
④接続後
⑤独立語
ポイント1. 主語がない文がある。
(例題)昨日とてもおいしいパンを食べた。
主語と述語に慣れていない生徒は「パンを(主語)→食べた(述語)」と答えてしまうことがありますが、それは違います。述語に対して「何が(誰が)」にあたるものが主語になります。「パンが食べた」とは言えませんよね。
「パンを」は何を食べたのかを説明する修飾語です。この文に主語はありません。
日本語は主語を省略することが多いので注意が必要です。

英語のライティングが苦手な生徒が主語を入れ忘れてしまうのもこれが原因です。日本語では主語を省略しても自然に文を書けてしまうからですね。
また、主語から先に探そうとすると間違えてしまうことがあるので、必ず述語とセットで考えるようにしましょう。
ポイント2. 連体修飾語と連用修飾語
修飾語でやっかいなのが「連体修飾語」と「連用修飾語」の見分け方です。
- 連体修飾語は体言(名詞)を修飾する語です。
- 連用修飾語は用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する語です。
(例題)昨日とてもおいしいパンを食べた。
この文で言うと「とても」は「とても→おいしい」のように「おいしい」という用言(形容詞)を修飾しているので「とても」は連用修飾語になります。
「おいしい」は「おいしい→パンを」のように「パン」という体言(名詞)を修飾しているので「おいしい」は連体修飾語になります。
被修飾語(修飾される語)が体言か用言か見分けられるようになることが重要になります。
ポイント3. 接続語は逆接、理由、条件などを示す。
「しかし」「だから」のような語は接続語だとすぐにわかると思いますが、文の成分は次のような文節も接続語になります。
(逆接)急いだが、間に合わなかった。
(理由)急いだので、間に合った。
(条件)急げば、間に合うよ。
慣れるまでは見落としがちですが、接続の意味が含まれているかどうかがポイントです。
文節相互の関係のポイント
文節相互の関係は主に次の4つです。
①主語・述語の関係
②修飾・被修飾の関係
③並立の関係
④補助の関係
ポイント1. 文節相互の関係はいったん他の文節は無視する。
下の線部の文節相互の関係を考えてみましょう。
(例題)リルケの 書いた 手紙は すばらしい。
この文の述語である「すばらしい」に対応する主語は「手紙は」になります。
ですが、そこはいったん無視して文節相互の関係はお互いの関係だけに注目して考えます。
「書いた」のは誰が?→「リルケが」と考えられるので、
「リルケの 書いた」は主語・述語の関係になります。
ポイント2. 補助の関係は「〜で」「〜て」「〜く」で切れる
(例題)公園で / 遊んで / いる / 間に / 暗く / なった。
上の線部のはそれぞれ補助の関係になっています。
「いる」は、公園に「いる」という意味ではなくて、前の文節「遊んで」を補助しています。
文節切りの項目でも説明したように「飛んで / いる」「食べて / みる」「明るく / ない」のように「で」「て」「く」で切れているところが補助の関係になります。
とはいえ、「で」「て」「く」が出てきたからといって機械的に補助の関係を選んでしまうと間違えてしまうこともあります。
(例題)マーロウは / 強くて / 優しい 。
この文も「て」で切れていますが、彼の性質を表す「強い」「優しい」という二つの形容詞を対等に並べているので並立の関係になります。

このように文節の問題をひとつとっても、動詞や形容詞などの品詞も含めたいろいろな知識が関連し合っていることがわかります。国文法は文を正確に読んだり書いたりする基本になるものですし、英語の勉強にも活かされます。苦手な人こそ後回しにせず勉強してくださいね。
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