愛知県の高校入試は2023年からマークシート方式になりました。今回は愛知県2023年入試の国語、数学、英語でどのような問題が出題されたのかを紹介します。対策の参考にしてください。
愛知県の入試問題はAグループとBグループで異なる入試問題を2回受験する制度でしたが、2023年から入試問題はひとつに統一され学力検査は一回だけになりました。受験制度は全国的に受験生の負担を減らすようにシンプルになってきています。
また、2023年入試からマークシートになるということで、どんな問題になるのかざわついている感もありましたが、愛知県の入試問題はもともと国語でも一問要約の記述問題があったくらいで、マークシートにしても内容に大きな変化はないだろうと予測していました。
実際の入試問題を見てみると、やはり昨年度までとそれほど大きな差はなかったので受験生もいつも通りの力を発揮できたのではないでしょうか。
国語
45分、22点満点。
[一]論説文
[二]漢字、四字熟語
[三]小説文
[四]古文
[一]論説文は原研哉『低空飛行 この国のかたちへ』から。環境や人工と自然についての文章でした。
接続語や内容一致など一般的な問題の他、下記のような問題も出題されました。
(三)要約文が提示され、それについての評価が正しいものを選ぶ問題。
(五)参考文(同じ著書の文章)が提示され、本文と比較したり共通点を考える問題。
[二]漢字は選択問題で、四字熟語を選ばせる問題もありました。
[三]小説文は瀧羽麻子『博士の長靴』から。語り手の「僕」と、お世話になっている研究者の先生とその息子の親子関係を描いた場面。
(一)[A][B]にあてはまる最も適当なことばを、次のア〜カまでの中からそれぞれ選びなさい。
ア、いたずらに イ、いぶしげに ウ、うっかりと
愛知県2023年国語
エ、こっそりと オ、しなやかに カ、とっくりと
文学的文章の問題ではよくある問題ですが、「いぶかしげ」って何ですかと質問する生徒の顔が浮かんできます。このような表現は単語帳で覚えるものではなく、日々の勉強や読書で自然と身についていくものです。読書は受験のためにするものではありませんが、小・中学生のみなさんはたくさんの文章を読んでいってください。
(六)は表現の特徴を選ぶ問題。選択肢の中に「擬態語」や「隠喩」といった語も出てきたので基本的な表現技法は覚えておきましょう。
[四]古文(漢文の書き下し文)は『蒙求』から。
現代語訳が併記されているので内容理解は難しくありません。落ち着いて取り組めば解ける問題です。刑罰ではなく徳や善政で国を治めるという古文・漢文ではよくあるストーリーでした。
論説文も小説文も、選択肢と本文を丁寧に比べてぴったりなものを選ぶ練習、選択肢から言いすぎていたり極端な表現を除外する消去法の練習をしましょう。また、読み飛ばしたり、なんとなくで選ばないように、内容理解ができる本質的な国語力をつけていきましょう。
数学
45分、22点満点。
[1]小問集合
[2]箱ひげ図、証明、動点
[3]角度、相似、図形
難問もなく、さくさく解くことができると思います。時間的にも余裕があるはずなので、焦らず着実に解いていくのが良いでしょう。
大問[1][2]は選択問題です。
大問[1]の小問集合では、計算問題だけではなく下記のような問題も出題されます。
(10)空間内の平面について正しく述べたものを次にアからエまでの中からすべて選びなさい。
ア 異なる2点をふくむ平面は1つしかない。
愛知県2023年数学
イ 交わる2直線をふくむ平面は1つしかない。
ウ 並行な2直線をふくむ平面は1つしかない。
エ 同じ直線上にある3点をふくむ平面は1つしかない。
答えはイとウの二つですね。
また、2(1)は箱ひげ図を見てわかることを選ぶ問題でした。
四分位範囲や中央値といった用語を覚えていないとできません。
このように中1,中2の範囲からも満遍なく出題されるので、穴がないように基本的な知識を押さえておきましょう。
2(3)動点の問題も「下の図を必要に応じて使ってもよい」とあり、苦手な人でもグラフに記入していくだけでできたのではないでしょうか。
大問[3]は選択問題ではなく、マークシートの2ケタの数字を塗りつぶす形式でした。
(2)②と(3)②が全体の中では少し時間がかかる問題かもしれません。(2)②は線分の相似比を出して面積を求める問題、(3)②は線を引いて三角柱と三角錐に分けて立体の体積を求める問題です。どちらも標準レベルです。

英語
リスニング10分、筆記40分、22点満点。
[1]会話文の空欄補充
[2]空欄補充と並び替え
[3]森林についての長文問題
[4]会話文
リスニングは例年通り「正」「誤」を塗りつぶす形式です。
[2]は天気予報を見て週末の予定を伝えるメッセージの中の空欄補充と並び替え問題でした。並び替えは下記のような問題が出題されました。
(2)下線部③にあてはまるように、次のアからキまでの語句の中から六つを選んで正しく並び替えるとき、1番目、3番目、5番目にくるものをそれぞれ選びなさい。
アrain イit ウbefore エto
愛知県2023年英語
オstarts カSaturday morning キSunday morning
ひとつ不要な語句がある並び替え問題です。問題に天気予報の図が載っていて雨が降るのは土曜日だとわかるのでキではなくカを選んで並び替えるのが正解です。
I’m going to walk our dog on Saturday morning before it starts to rain, because (略)
[3]の長文問題では、
But have you ( A ) where water comes from?
文章中の上記の空欄Aにwonderedを選ばせる問題がありました。教科書に掲載されている単語ですが英語が苦手な生徒の中には意味がわからなかった人もいたのではないでしょうか。語彙力は日々強化していってください。
[4]の会話文では、博物館の開館時間の表やチケットの値段の表を見て正しいものを選ぶ問題が出題されました。
とはいえ、資料の中に書いてあることを読み取るだけなので、焦らず落ちつて、おかしな選択肢を消去しながら正解を選びましょう。
正確に文章や選択肢を読む英語力が必要です。文章と選択肢を比べて、何が合っていて何が間違えているのかを丁寧にチェックする練習をしてください。

マークシート形式で資料の読み取りが必要な問題を練習したい人は東京都の入試問題もおすすめですよ。
理科、社会も例年通り複数の資料を読み取る読解力が必要とされる問題が多く出題されました。資料の読み取りは時間のかかることも多く、模試や過去問でたくさん練習しておくと良いでしょう。
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